FX投資家の立場から
現在の為替相場はひどいものだ。これだけ財政赤字、東日本大震災でさらに景気後退局面にはいっている日本の通貨、円が対ドル、対ユーロで買われ、史上最強の通貨になっている。この背景にあるのは、慢性的な米国の双子の赤字、ギリシャ危機により信用不安がおこったユーロ圏のせいである。今後の為替相場はどこに向かうのか?FX投資をするものなら誰もが気になるこれらの要因について考えてみたい。

止まらないドルの弱体化
欧州財政危機の深刻化を受けて欧州経済が景気後退に入る可能性が高まり、米国経済も住宅市場や雇用市場の回復がみられないなかで景気後退懸念が強まっている。こうしたなかで米ドルは主要通貨に対して反発し、今年9月に入った後の実質実効レートは3%程度上昇した。もっともドルの水準は現在でも1970年以降の最低水準に近いところにある。9月以降にドルが反発したのは、世界の市場参加者がリスク回避志向を強め、手元にドル資金を確保しようと走ったためである。

対ユーロでも割安 表れる変化の兆候
今後も欧州財政危機が深刻化し、これがグローバル経済にとってさらに重石となるようであれば、短期的にはドルはさらに上昇する可能性がある。この時、ドル・円相場も比較的底堅く推移するであろう。しかし、世界の基軸通貨ドルは変調をきたし、弱体化し始めている。その1つの例がドル・円相場である。
購買力平価からみたドル・円相場の均衡水準と、実際のドル・円相場である。購買力平価は70年基準、物価指数は卸売物価指数を採用したが、これを用いて計算した購買力平価は実際のドル・円相場よりもずっと高いレベルで推移しているため、図2では購買力平価と実際のドル・円相場を月次ぐペースで比較し、その乖離幅の平均値を使って購買力平価に平行になるように描いた線を均衡水準として使っている。
日米間では長期的にみると物価の上昇率の差が2%程度ある。理論的にはドル・円相場の均衡水準は毎年2%程度ずつ下落していることになる。2002年以降から米国金融危機が終わるまでの間、ドル・円相場は均衡水準の周囲を上下動しながら緩やかに下落している。
しかし、昨年ごろから均衡水準との乖離幅が大きくなっている。ドル・円相場の均衡水準は現在95円近辺にあるが、そこから大幅に下方に乖離しているのは円高が理由なのではなく、ドル弱体化が主な原因である。実際、現在の円の実質実効レートは1970年以降の平均から6〜7%割高になっているだけである。
今年、ドル弱体化の兆候は他の通貨に対しても表れた。ドルは日本と並ぶ経常黒字国の対スイスープランで史上最低レベルにまで下落しただけでなく、経常赤字国の対豪ドルやニュージーフンドードルに対しても80年代前半以来、約30年ぶりの水準まで下落した。
ここ数年はユーロに対してさえ米ドルは割安だ。99年以前の各欧州通貨の水準を用いてユーロードルの長期的な動きをみると、財政赤字問題で売られているようにみえるユーロに対してでさえ、ドルは比較的割安な水準となっている。70年以降の平均値は1ドル=1.16ユーロであるが、現状レベルはそれより15%も割高な水準にある。ユーロ圏と米国のインフレ率の間には長期間でみると大きな差がないため、基本的にはユーロードル相場が上下どちらかの方向に動くトレンドが続くことはないと考えられ、ドル・円相場とは異なり昨年の過去の平均値を均衡水準として考えることに違和感はない。ユーロードル相場は99年1月のユーロ導入時のレベルも1ユーロ台のため、欧州財政問題が発生していても依然としてドルが過去に比べて割安になっており、ドルはユーロに対してさえ弱体化しているといえるかもしれない。
引用達人のFX比較ランドをするためには
FX投資家注目のユーロに関し、新たな動きがあり。ドイツのメルケル首相とフランスのサルコジ大統領が会談し、ユーロ圏の銀行について資本増強を進めると表明した。詳細はこれから詰めることになるのだが、「ギリシャをいかに助けるのか」ということから、「欧州の金融システムをいかにして守るのか」にユーロ圏首脳の考えが変わってきたのではないだろうか。会談の翌日にはフランス・ベルギー系大手銀行のデクシアの解体処理が決まったが、大手金融機関の破たんというマイナス面よりも、公的資金を使いながら金融システムに動揺を与えない処理ができたということでユーロ相場にとってはむしろプラスに作用したようである。